はじめに|「節税したほうが得ですよ」という言葉の落とし穴
節税について調べ始めると、必ずと言っていいほど目にする言葉があります。
- 「節税しないのは損」
- 「知らないと何百万円も損をする」
- 「合法的に税金を減らせる方法がある」
これらの表現を見て、
「自分は何か見落としているのではないか」
と不安になるのは自然なことです。
ただし、ここで注意したいのは、
「得か損か」という軸で節税を考え始めると、判断を誤りやすい
という点です。
なぜ「得・損」で考えると危険なのか
節税を「得か損か」で捉えると、
次のような思考になりがちです。
- 税金が減る=無条件に良いこと
- 使える制度は全部使ったほうがいい
- 他人がやっているなら自分もやるべき
この思考には、
事業の状況や将来像がほとんど考慮されていません。
結果として、
- 今の事業に合わない選択をする
- 本来不要なコストや制約を背負う
- 後から修正が難しくなる
といった問題が起こりやすくなります。
節税で見落とされがちな「3つのコスト」
節税の話では、
「どれだけ税金が減るか」が強調されがちですが、
実際には税金以外のコストも存在します。
① 時間と手間のコスト
- 手続きの理解
- 書類の準備
- 継続的な管理
これらは一度きりではなく、
毎年・毎月発生する場合も多いものです。
税金は減っても、
本業に使える時間が減ってしまっては本末転倒です。
② 自由度が下がるコスト
節税施策の中には、
- 事業のやり方が縛られる
- お金の使い道が制限される
- 将来の選択肢が狭まる
といった影響を持つものもあります。
「今の税金を減らす」代わりに、
将来の柔軟性を失うケースも少なくありません。
③ 判断を他人に委ねてしまうリスク
「節税になると言われたから」
「専門家が勧めたから」
という理由だけで進めてしまうと、
自分自身が内容を理解しないまま
判断を委ねることになります。
これは、
節税に限らず、事業判断全般でリスクの高い状態です。
節税が「得」になるケースも、もちろんある
ここまで読むと、
「節税はしないほうがいいのか?」
と感じるかもしれません。
もちろん、そうではありません。
- 利益が安定している
- 事業の方向性が固まっている
- 将来の見通しがある程度立っている
こうした状況では、
節税が事業の安定に寄与するケースも多くあります。
重要なのは、
「得だからやる」のではなく
「今の自分に合っているか」で判断することです。
判断軸を「得・損」から「意味があるか」に変える
節税を考える際は、
次のような問いに置き換えることが有効です。
- 今の事業フェーズで意味があるか
- 将来の足かせにならないか
- 自分が内容を理解できているか
この視点を持つだけで、
極端な情報や煽りに振り回されにくくなります。
今回のまとめ|節税は「数字」より「位置づけ」
節税は、
単純な数字の話ではありません。
- 事業の状況
- 将来の方向性
- 自分の理解度
これらを踏まえて初めて、
「やる・やらない」を判断する意味が生まれます。
次の記事では、
合法・グレー・違法の境界線をどう考えるべきか
について、さらに整理していきます。